名寄で秋に見かける、白い綿のような雪虫。代表的な正体はアブラムシの仲間で、秋に生活する木を替えるために飛びます。「見たら初雪が近い」ともいわれますが、雪虫だけで雪の降る日を予測することはできません。
『なよろレンズ』の編集長くうです。今回は、名寄で雪虫が気になったときに知っておきたい正体や時期、初雪との関係を整理しました。2026年10月13日に確認した公的資料などを基に、一般的な生態と市内で未確認の発生状況を区別して紹介します。
名寄で見かける雪虫はどんな虫?
秋の道を歩いていると、白い綿のような小さなものが空中をふわふわ漂うことがあります。雪に似ていますが、近くで見ると羽のある虫です。北海道で雪虫と呼ばれる代表的な種類は、トドノネオオワタムシというアブラムシの仲間です。
ただし、雪虫は一つの種類だけを指す厳密な名前ではありません。札幌市博物館活動センターの資料では、初冬に飛ぶアブラムシの仲間をまとめた呼び名と説明されています。白い虫が見えたからといって、写真も観察もなしに種類まで決めることはできません。
トドノネオオワタムシの体長は最大で約4ミリです。白いふわふわは体から出したロウ物質で、雪や植物の綿毛が付いているわけではありません。なぜこの綿毛をまとっているのかは、札幌市の解説でも、まだはっきり分かっていないとされています。
私が面白いと思ったのは、名前にある「トドノネ」がトドマツの根を意味することです。空を飛ぶ姿だけを見ると結び付きにくいのですが、雪虫を知るには、身近な木でどのように暮らしているかも手掛かりになります。
いつ飛ぶ?名寄でも秋の目安として見る
北海道の公的な解説では、秋に羽のあるトドノネオオワタムシが現れる時期として、9月下旬から10月にかけての記述が見られます。札幌市保健所は10月下旬頃の移動を紹介していますが、この日程を名寄市の発生日としてそのまま使うことはできません。
同じ北海道でも場所や年によって条件が違うため、「毎年10月の何日から」と決めるのは難しいところです。名寄で知りたいのは、北海道全体の季節の目安と、自宅や通学路の周辺で実際に飛び始めた日。両方を混ぜずに受け止めると分かりやすくなります。
また、雪虫は秋だけに羽のある姿になるわけではありません。トドノネオオワタムシは初夏にも木々の間を移動します。秋の風物詩という印象は強いものの、「白い虫を見たから季節外れの異常発生だ」とすぐに考えなくてもよさそうです。
留萌振興局の資料には、暖かく穏やかな日に一斉に飛び立つ様子が紹介されています。寒さが深まる季節の虫なのに、よく目立つのは穏やかな日という点も特徴です。雨や風の強い日の見え方だけで、その年の発生量を判断するのは避けたいですね。
なお、2026年10月13日の調査では、名寄市内の発生開始日や発生数を裏付ける公的な観測資料を確認できませんでした。この記事の時期は生態に関する目安で、市内での発生速報や大量発生の予測ではありません。
雪虫が出ると初雪が降るって本当?
「雪虫を見ると、そろそろ初雪」という話は、北海道の秋によく結び付けられる言い伝えです。雪虫が目立つ時期と冬の始まりが近いため、季節を感じる手掛かりにはなります。ただし、雪虫を見た日から初雪の日付を正確に計算できるわけではありません。
留萌振興局の解説には、飛び始めて2〜4週間で平地にも雪が降り始めるという目安があります。ただし、名寄市で同じ間隔になると確認された数字ではありません。日数の約束ではなく、秋から冬への移り変わりを表す目安として読むのがよさそうです。
名寄で雪虫を見つけた場合も、その日から2週間後に必ず雪が降るとは言えません。そもそも自分が初めて見た日と、その地域で飛び始めた日は同じとは限らないからです。通勤中に気付いた一匹だけで、初雪までのカウントダウンを始める必要はありません。

雪虫は季節の合図。初雪の日付は天気予報で見たいですね
私は、雪虫を冬支度を思い出すきっかけとして受け止めるくらいが、暮らしに取り入れやすいと思います。外出や車の準備を判断するときは、雪虫の有無に加えて、名寄周辺の天気予報や気温、移動先の道路状況を材料にするとよさそうです。
どうしてたくさん飛ぶの?木を移るための移動
白い虫がまとまって飛ぶと、どこかから急に湧いてきたように見えます。トドノネオオワタムシの場合、秋に見える飛行は、夏を過ごしたトドマツからヤチダモなどへ移動する過程です。人に近づくためではなく、生活する植物を替えるために飛んでいます。
北海道立総合研究機構の林業試験場の説明では、モクセイ科の木の幹の隙間などで卵のまま冬を越し、春にふ化します。春は新芽や葉から養分を取り、初夏にトドマツへ移動。夏は根で世代を重ね、秋に再び羽を持つ虫が現れるという生活環です。
季節によって木を使い分けていると分かると、秋の群れの見え方も少し変わります。道路の近くで飛んでいても、道路そのものが発生源とは限りません。ただし、名寄の特定の公園や街路樹を発生源とする調査は確認していないため、場所の名前を挙げて断定はしません。
大量発生には、その年の気候や虫の種類も関係します。知床自然センターは、アブラムシの仲間が春から秋に雌だけで繁殖を繰り返し、夏の気温が高いと発育が速くなり、その年の条件によって大量発生する場合があると説明しています。
だからといって、暑い夏の後には名寄でも必ず大量発生する、とまでは言えません。別の地域で群れが出たというニュースも、そのまま市内の状況を示すものではありません。見かけた虫の種類、場所、時期をそろえて考える必要があります。
白くない小さな虫も雪虫の仲間?
秋に大量に飛ぶ小さな虫の中には、白い綿が目立たないものもあります。札幌市保健所は、ユキムシの仲間がすべて綿を持つわけではないとして、ケヤキフシアブラムシを紹介しています。白いふわふわの有無だけでは、秋の小さな虫を整理しきれません。
ケヤキフシアブラムシはケヤキとササの樹液を吸って育ち、しばしば大量発生して視界が悪くなることもある種類です。札幌市博物館活動センターの資料では、2023年に大発生した雪虫として、この種類が取り上げられています。
一方、トドノネオオワタムシはトドマツとヤチダモなどを利用する種類です。どちらもアブラムシの仲間ですが、生活する植物は同じではありません。「雪虫のニュースだから、全部いつもの白い虫」と考えると、種類の違いを見落としてしまいます。
ここで挙げた2023年の事例は札幌市の資料にある過去の出来事で、2026年の名寄の状況を示してはいません。市内で見かけた小さな虫を確かめたい場合は、安全な場所で撮った写真や、見つけた日と場所が判断の材料になります。
家に入れない工夫と外出時の付き合い方
トドノネオオワタムシについて、札幌市保健所は人に危害を加える虫ではないと説明しています。樹液を吸って暮らす虫で、蚊のように人の血を吸うために寄ってくるわけではありません。それでも、数が多くて服に付いたり、室内へ入ったりすると困りますよね。
室内への侵入を減らす方法として、同市が挙げているのは網戸の取り付けです。名寄の住まいでも、窓を開ける際に網戸を使うことは取り入れやすい対策です。網戸を設けても、窓や出入口が大きく開いていれば虫の通り道は残るため、開け方も一緒に見直したいところです。
外出時は、群れの濃い場所を無理に通り抜けず、通れる範囲で道を替えるという方法も考えられます。これは発生そのものを止める対策ではなく、虫との接触を減らすための工夫です。自転車などで視界が気になるときは、安全な場所に止まってから様子を見る方が安心です。
玄関に入る前に上着や荷物を見て、付いている虫を外で払うのも、室内へ持ち込む量を減らすための工夫になります。一匹見かけるたびに、家や周辺の木へ広く殺虫剤を散布する必要があるとは、この生態の説明からは言えません。
雪虫を見つけたら、まずは「いつ、どこで、白い綿が見えたか」を軽く記録しておくと、翌年の秋にも参考になります。名寄の冬が始まる日を当てるためというより、身近な季節の変化に気付くための小さなメモ。天気予報と一緒に、冬を迎える準備のきっかけにしたいですね。













